「駅に着いたとの配信見て周辺探した」容疑者、女性を30か所以上刺す…動機は「貸した200万円」か(読売新聞オンライン)
東京都新宿区の路上で動画配信中の女性が刺され死亡した事件で、逮捕された栃木県小山市の職業不詳の男(42)が、「(女性が)『駅に着いた』と配信したのを見て周辺を探した」と供述していることが、捜査関係者への取材でわかった。女性は30か所以上を刺されており、警視庁は強い殺意があったとみて調べている。
男は11日午前9時50分頃、新宿区高田馬場の路上で、動画配信業の女性(22)(東京都多摩市)の首や胸などをナイフ(刃渡り13センチ)で刺し、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。女性の死因は出血性ショックだった。
捜査関係者によると、女性は事件前日、スマートフォンの動画配信アプリに「山手線徒歩1周」と題した企画を告知。当時は、1人で歩きながらスマホで生配信をしていた。
男は11日朝、配信を見ながら電車で上京したといい、「『高田馬場駅に着いた』との配信を見て、自分も駅に向かい、周辺を探した。前から歩いてくる姿を見つけ、近づいて刺した」と説明している。
動機については、「貯金や消費者金融で借りた金で、200万円以上を貸したが、2023年の初め頃から連絡が取れなくなった。お金を返さないのに、(女性が)今後も配信で稼いでいくのがやりきれなくなった」と語っているという。
凶器のナイフは、「2~3か月前に通信販売で購入した」と話しており、同庁が詳しい経緯を調べている。
女性は数年前から「最上あい」の名で動画配信していたとみられる。視聴していた40歳代男性によると、女性は毎日配信し、視聴者の質問に答えていたという。別の40歳代男性は「かわいらしく、明るい子だった。人気もトップクラスだった」と話す。
動画配信アプリは、視聴者がコメントを投稿して配信者と交流でき、活動の支援金を送る「投げ銭」の機能を備えたアプリもある。
一方、生配信には危険も伴う。成蹊大の高橋暁子客員教授(情報リテラシー)は「屋外で配信する場合、映り込んだ背景から居場所が特定されやすく、リスクが高い」と警鐘を鳴らす。その上で、「居場所を伝える時は、少し前にいた場所を明かすなど工夫が必要だ。視聴者と会うときは、なるべく1対1は避けた方がいい」と話している。