東京都新宿区の路上で3月11日、動画生配信中の「最上あい」こと佐藤愛里さん(22)を刺殺したとして警視庁が殺人容疑で送検した高野健一容疑者(42)が、「最上あいの婚約者」を名乗る「Y」という人物とも深刻なトラブルを抱えていたことがわかった。「Y」は佐藤さんが裁判所の支払命令を受けていた高野容疑者への借金約250万円についても熟知していたとみられる。一方で事件発生の一週間ほど前、高野容疑者はライブ配信中に佐藤さんに少額の投げ銭をしたことで「キモい」などと罵倒されていた。凄惨な殺人事件の動機につながるパズルのピースが埋まりつつある。
高野容疑者は複数の消費者金融に借金してまで佐藤さんに約250万円を貸し、その貸金返還請求訴訟について宇都宮地裁栃木支部は2023年12月、満額を認める判決と佐藤さんへの支払命令を出している。しかし、佐藤さんがその後、返金に応じなかったのはこれまで報じた通りだ。昨年の1月10日、突然、佐藤さんから高野容疑者のSNSに「話せる時間ありますか?」とダイレクトメールが届いた。以降の経緯は、高野容疑者の知人とのLINEのやり取りからうかがい知ることができる。
「配信して稼いで金返したいから最上あいに関すること書き込んだり誰かに言ったりしないって契約結んでほしいみたいにいわれたんだけど、途中で彼氏もでてきて誓約書とろうとするみたいなかんじだったからグルっぽかったですわ。怪しいから適当に合わせて弁護士に聞きますでおわらしといたんだけどね」と高野容疑者は述べた。
「彼氏が言うには、彼氏もあいにお金貸しててもう交際はしてないけど、家借りれないし住まわせてて会社で手伝いしてもらってるとかなんとか」とも語った。高野容疑者は、「2月に今住んでる家退去するからそれまでに何とかしてくれって言ってて、配信すればって言ったらマジラヴが暴露するから無理って言ってるから〜とか怪しすぎるよねw」と振り返った。
「最上あい」は「ふわっち」という投げ銭機能付きの配信アプリでプラチナランクのライバーとして活動していた。そのアプリ内で、高野容疑者が使用していたアカウント名が「マジラヴ」だ。これらのやりとりは、借金トラブルについてライブ中に告発されることを恐れた「最上あい」と「Y」がセットで高野容疑者に圧力をかけにきたことを示すものである。