【「御上先生」この生徒役に注目】#4
上坂樹里(東雲温役)
「御上先生」(TBS系)の生徒役の中で、今作を通じて最も知名度が上昇したのは上坂樹里だろう。
【写真】サッカー日本代表姿の影山優佳
彼女が演じる東雲温は、両親が離婚して今は母親と暮らしているが、元教師の父親は指導要領に従わずに独自の教科書を使って授業を行ったために自主退職を余儀なくされた。
上坂樹里が活躍するターンとなったのは、第4話だった。文化祭で教科書検定をテーマにした自主発表をクラスでやりたいと提言。まっすぐに見つめる表情が印象的で、自主発表についてのディベートで対決した永瀬莉子が演じる櫻井未知留にやさしい言葉をかけられた瞬間に、彼女の体温が上がるのが伝わってくる気がした。
上坂樹里は2005年7月14日生まれ、神奈川県出身。エイベックスがキッズ・ジュニアを対象に開催した「キラチャレ」というオーディションで2017年にモデル部門審査員特別賞を受賞して、芸能界入り。「キラチャレ」はオーディションとしての知名度は高くないが、生見愛瑠(2011年)、「御上先生」に出演中で2025年後期の朝ドラヒロインにも決まった高石あかり(2014年)らを輩出した。
上坂は連ドラレギュラー出演が2024年夏の「ビリオン×スクール」(フジテレビ系)に続いて2作目となるフレッシュな新星で、ドラマ「いちばんすきな花」(TBS系)では今田美桜のいとこの中高生時代を演じ(大学生時代役はJR SKISKIのCMに出演中の出口夏希)、今年1月には「TRUE COLORS」(NHK BS)に倉科カナが演じた主人公の中高生時代役でゲスト出演した。
回想シーンの中高生時代役に起用されることも多いのは、演技力があることに加えて、ノスタルジックな魅力を持っているからだと思う。高校を卒業してかなりの年月が経過している視聴者の中には、「御上先生」での上坂樹里の意志を感じさせる聡明な瞳から、かつて昭和時代の教室にいた優等生女子を思い出した人も少なくないと思う。
上坂は最近、専属モデルを務める「Seventeen」のブログで、リフレッシュ法は劇場でお笑いを見ることで「前説の時間も好き」と語っている(集英社「Seventeen Web」2025年3月3日配信)。
お笑いライブの前説には、開幕前のワクワク感がある。上坂樹里の凛とした演技もまた、東雲(古語的表現で茜色に染まった夜明け前の空のこと)のように、これから彼女が描くすてきな女優ストーリーの予感にあふれている。