ついに「クルマの税金」来年度から大きく変わる? 抜本的な見直しは可能なの? 準備はいま、どのように進められているのか

ついに「クルマの税金」が来年度から大きく変わる!その準備はいま、どうなっているのか?

自動車税に自動車重量税、そして環境性能割といった、クルマの税金が来年度から大きく変わります。一般的には、車体課税の抜本的な見直しと呼ばれるものです。その準備はいま、どのように進められているのでしょうか。

高額な自動車税の納付書

様々な税金がかかるクルマ。来年度から何が変わるのか?

まず、これまでの流れを整理してみましょう。政府は2024年12月27日、税金に対する国の指針を示す「令和7年度 税制改正大綱」を閣議決定しています。その中で、クルマの税金についての大幅な改正に向けた基本方針が示されました。ポイントは大きく2つ。「取得時の負担軽減」と「保有時の税負担のあり方の見直し」です。この2点に焦点があたった背景には、自動車メーカー各社でつくる業界団体である日本自動車工業会から国への要望があります。

2024年10月に示した「令和7年度税制改正・予算要望の概要 及び 自動車税制抜本見直しの改革案」というものです。その内容を見てみましょう。1つ目は、所得時の負担軽減についてです。現在は、車両価格に対して10%の消費税、また自動車税として環境性能割がかかります。環境性能割は、自家用と営業用、またパワートレインの種類や燃費基準に対する達成度合いなど、要件によって税率が変わります。最大では3%となります。これに対して、自工会の改革案では、取得時は消費税で1本化。環境性能割は廃止が望ましいとしています。

2つ目は、保有時の税負担に関してです。現在は、自動車税、また軽自動車では軽自動車税が地方税としてかかります。軽自動車では1万800円。登録車はエンジンの排気量によって区分されて、金額は2万5000円から11万1000円の間で設定されています。これらとは別に、国税として自動車重量税がかかります。軽自動車では年に3300円、また登録車は0.5t毎に4100円となっています。こうした自動車税(軽自動車税)と自動車重量税を自工会の改革案では1本化しようというのです。

いまのところ、仮の名称は、新自動車税/新軽自動車税。その中身は、重量をベースとして環境性能に応じて税の増減を決めるというものです。なぜ、こうした発想になったかと言えば、最も大きな要因は電動化への対応です。EVは内燃機関がないので排気量という発想が通用しません。また、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車でも近年は内燃機関に比べてモーターや発電機など電動制御の領域が走行性能への影響が大きくなっている状況です。

そのした中で、納税者に対して簡素で公平、かつ永続的な指標として重量を課税の標準とし、そこに環境性能を加味するということを自工会で考えました。これを図にしてみますと、重量が増えると、一定の条件で段階的に税負担が増えるという、パッと見て階段がついたような線を描きます。関係者の間では「階段付け」と呼ぶことがあります。

こうした自工会から国に対する改正案を踏まえて、筆者は都内で3月19日に実施された自工会の定例会見で質問しました。なお、この改正案が昨年公開された際、報道陣向けにオンラインで説明会があり筆者も参加したのですが、それ以降、自工会の定例会見は行われていませんでした。そうしたなかで、今回の定例会で以下のように質疑を行いました。

ーーー 筆者:車体課税について、自工会での議論の進捗を教えてください。特に重量ベースでの新税について、いわゆる「階段付け」の調整が難しいかと思います。与党税制調査会、財務省、総務省等と、車体課税との調整の流れは今度どうなるのでしょうか? 自工会:昨年の与党税制調査会では、環境性能割を確実に廃止することと、保有時の課税の簡素化について議論がありました。現在は、税制改正大綱を踏まえて、具体的な制度設計に関する議論を続けているところです。現段階では、議論の途上ですので、今後もメディア向けのブリーフィングの機会を設けて説明してまいります。ーーー

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