27年大河『逆賊の幕臣』無名の小栗上野介忠順を主人公に選んだ理由 制作統括「知れば知るほど…」

俳優の松坂桃李が、2027年に放送されるNHKの大河ドラマ『逆賊の幕臣』で主演を務めることが3日、明らかになった。同日、東京・渋谷の同局で制作・主演発表会見が行われ、松坂、脚本の安達奈緒子氏、制作統括の勝田夏子氏が出席した。

大河ドラマ第66作となる『逆賊の幕臣』は、幕臣・小栗上野介忠順を主人公にした幕末の物語。小栗は“勝海舟のライバル”と言われた男で、日本初の遣米使節となって新時代の文明を体感し、新しい国のかたちをデザインした江戸幕府の天才だが、明治新政府に“逆賊”とされ歴史の闇に葬られた。本作では、忘れられた歴史の“敗者”=幕臣の知られざる活躍を描き、小栗が国内外の諸勢力と繰り広げる外交・情報戦にスポットを当てる。

小栗は歴史の教科書にもほとんど載っていないような人物で、制作統括の勝田氏ももともと知らなかったという。幕末を調べていたところ、「勝海舟のライバルとして名前が挙がってきている人がいるな」と気づき、「知れば知るほどすごい人なのに、なんで名前を知らなかったんだろうと。その謎というか、理不尽さに目覚めていった」と語る。

そして、「時代が変わるときは、いろんなものをぶち壊していけば新しいものが生まれるんじゃないかという期待が生まれがちですが、小栗さんを知れば知るほど、今手元にあるもの、200年の徳川の平和を維持してきた、途中までは優れた形で機能していたシステムを全部壊すのではなく、作り変えていけば新しい未来が開けるんじゃないかと思って取り組んだ人」と小栗を紹介。「全部ぶっ壊せではなく、少しずつでも世の中をよくしていきながら未来に向けてつないでいく、そういうことが今必要なのではないか。小栗さんがそれを率先した人に見え、主人公にふさわしいと思った」と今の時代に小栗の物語を届ける意義を述べた。

「逆賊」とは謀反人という意味。勝田氏はタイトルに込めた思いについて「幕末に幕府の命運を一身に背負ったような天才が、後世に名前が残っていない理由は、逆賊として明治新政府に歴史の闇に葬られた、そこに尽きる。明治新政府から見たら逆賊ですが、小栗さんほど日本の未来のために尽くした人はいないのではないか。そうでありながら逆賊という汚名とともに葬られた理不尽さ、それを逆説的に表現したいということでこのタイトルにしました」と説明した。

小栗上野介忠順のイメージ

制作発表会の様子

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